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谷川岳の準備<雨具編> [山の装備]

こんにちは。先週の安岡さんエントリーに続き、今日は柏が雨具について紹介します。
ゴメンナサイ、長くなっちゃいましたが、お付き合いください。

雨具は登山の重要な装備で、晴天でも持っていきます(天候の急変に備えてね)。

観光地などで売っているポンチョ型の雨具はとても安いですが、登山には役に立ちません。長時間の雨に耐えられる素材ではありませんし、ポンチョは風でまくれ上がって、濡れてしまうこともあります。
登山専用のジャケットとパンツに分かれたタイプを用意しましょう。

登山用の雨具に求められる性能は「防水性」「透湿性」です。
防水性とは、雨に打たれても雨具の内部に雨が浸みこまず、濡れないということです。
透湿性とは、雨具の内部の湿気を外に排出する性能です。
雨具の内部と外気温には差があるので、運動すると雨具の中に湿気がこもります。たとえ寒い時期であっても、体は熱を発散しています。汗をかく場合だってあります。
そういった湿気を外に出してあげないとなりません。
せっかく防水できても、透湿性がなければ、雨具の下の衣類が濡れてしまいます。

透湿性が高いと蒸れにくいために、防寒着として活用できる幅も広いです。とくに風があるときには、フリースのような風を通しやすい防寒着よりも役に立ちます。

登山道具専門店には、上下で10,000円以下の雨具から30,000円以上するものまであります。
ゴアテックスは、防水性と透湿性を兼ね備えた代表的な素材ですが、高価ですね。
値段の差の大きな理由は、透湿性にあります。

初心者の方々と話していて残念なのは、雨具を買い替えている人(すぐに2着目を買う人)が多いことです。その多くは、透湿性が低いものだった故に、蒸れて不快だという経験をしたからです。この差は現場で明らかになります。

ですから、これからも登山を続けようと考えるのであれば、ゴアテックスかあるいは同程度の雨具がよいと思います。
もし年に1,2回程度のハイキングだけのつもりであれば、もう少し安価なものでもよいかもしれません。多少透湿性が劣ると思いますが。

では、なぜ雨具がそんなに重要な装備なのか?
それは、登山中の「濡れ」というのは、とても恐ろしいからです。
低体温症という症状を知っていますか。
体温が下がり、体が震えだします。この症状は急激に悪化する特徴があり、重症化すると、意識が混濁し、生命の危機に瀕します。

低体温症の三大原因が「冷え」「濡れ」「風」です。詳細は、ぜひ『山の救急医療ハンドブック』の92~95ページを読んでください(手前味噌ですが)。
これは、山に登る(それもかなりコアな登山を実践している)ドクターたちがチームを作って書いた本です。

「濡れ」は急激に体を冷やし、それを回復させるのはとても難しいです。
濡れないためには、汗をかかないようにウエアの着脱をこまめにするなどもありますが、雨に濡れないようにすることは絶対条件です。蒸れを防ぐことも重要です。そのためには、防水性と透湿性をしっかりと備えた雨具が必要となるのです。

それと買うときのもうひとつの注意点。
ほかのウエア同様、ちゃんと試着してくださいね。下にフリースなどの防寒着を着こんでも大丈夫なよう、ゆとりのあるサイズを選びます。

ほかにも、雨が侵入しにくいように襟まわりやフード、袖口のデザインなど、各社工夫をしています。専門店スタッフに詳しく聞いて、アドバイスをしてもらってください。


追記*
低体温症については、『凍る体』もとても参考になります。
著者の船木上総さんは、『山の救急医療ハンドブック』の著者メンバーでもある、循環器の医師です。彼自身がモンブラン(フランス)のクレバスに落ちて低体温症になり、九死に一生を得た経験が基になって書いた本ですが、低体温症のメカニズムや国内の事故事例についても詳説してあります。

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